マットレスっていつ開発されたの?マットレスの語源や誕生を歴史から紐解いて詳しく解説
横になっている人を支えるための、大きな、通常は長方形のパッド。
ベッドとして、またはベッドフレームに載せてベッドの一部として使用するように設計されています。
マットレスは通常、厚手の布でできたキルティングやそれと似たような仕様のケースに、毛、藁、綿、発泡ゴム、金属製のスプリングを入れたものなどがあります。また、マットレスの中に空気や水を入れることもあります。
マットレスは基本的にベッドベースの上に置いて使用します。ベースには、プラットフォーム(張り板)タイプのように頑丈なものもあれば、木とワイヤーを布で覆ったボックススプリングやすのこタイプといった、伸縮性のあるものもあります。
ヨーロッパで普及しているディバン(Divan:ソファーの一種)は、マットレスとベースの両方を、布張り足付きの1つの家具に組み込んだものです。ディバンには、少なくとも1つのスプリング層とクッション材が使用されています。
補助マットレスや、取り外し可能なトッパーが付属している場合もあります。マットレスの中には空気や水、または、布団に入れるように、さまざまな天然繊維を入れることもできます。
東南アジアではカポック(パンヤ)、南アジアではココナッツの繊維が、一般的にマットレスに使われています。

当サイトは引用大歓迎じゃ!引用文には必ず「マットレス.jp」のリンクを張ってね


1940年に米国農務省が発行した、綿マットレスの自家生産を促す回覧板の写真
マットレスの歴史
アラビア語の مَطْرَحٌ (maṭraḥ)で、「投げ捨てられたもの」「投げ捨てられた場所」「横たわる場所」という意味
十字軍時代、ヨーロッパ人は床にクッションを敷いて寝るというアラビアの方法を取り入れ、「マテラス」という言葉はロマンス語を経て、やがて中英語になりました。確認できている最古のマットレスは、約7万7千年前のものです。
初期のマットレスには、わらや羽毛、馬の毛など、さまざまな天然素材が使われていました。20世紀前半、北米で販売されていた一般的なマットレスは、スプリングと綿の中綿または繊維の詰め物で構成されていました。
現在のマットレスには、スプリングのほか、ラテックスや高弾性ウレタンフォームなどの素材が使われています。その他の詰め物としては、表面層がスプリングの中に落ち込むのを防ぐためのコイルの上のインシュレーターや、表面層に重ねられるポリエステル繊維などがあります。1899年にマーシャルが発表したポケットコイルマットレスは、現在ではマーシャルコイルと呼ばれています。
北米では、一般的にスプリングマットレスが販売されていますが、最近では、スプリングと高弾性フォームやラテックスといった高級なフォームを表面層(コンフォート層)に組み合わせた「オールフォームベッド」や「ハイブリッドベッド」への関心が高まっています。ヨーロッパでは、以前からウレタンフォームやラテックスの人気が高く、大陸で販売されているマットレスの多くをこれらが占めています。
- 出典: Archived The American Heritage Dictionary.
- 出典: “The World’s Oldest Mattress”. Smithsonian
- 出典: “The Inside Story“. BedTimes Magazine
マットレスの構造
従来のマットレスは、芯材(サポート層)と表面(コンフォート層)の2つの部分が、ティッキングと呼ばれる厚手の布で包まれています。
ティッキングはマットレスを覆い、クッション性と快適さをもたらします。内部は、インシュレーター、詰め物、キルトの3つの部分で構成されています。
マットレスのサイズ
マットレスは一般的に、市場によって異なるベッドサイズの基準に合わせて作られています。マットレスのサイズは、幅、高さ、奥行きが各国の規格によって異なります。
多くの国では、これらの寸法を表すために、「キング:King」、「クイーン:Queen」、「ダブル:Double」、「フル:Full」、「シングル:Single」というように、数字以外の表示を使用しています。
マットレスのタイプ
スプリング
スプリングマットレスは、一般的にスプリングと上下の表面層のみで構成されています。
芯材
寝ている人の体を支えるのはマットレスの芯材です。現在のスプリングマットレスの芯材は「インナースプリング」と呼ばれることがあり、金属製のコイルスプリング、すなわち「コイル」で構成されています。
コイルのゲージは、硬さとサポート力を決定する要因になります。コイルは1/4単位で計測します。この数字が小さいほど、スプリングは強くなります。一般的に、高品質マットレスのコイルは、直径が14ゲージ(1.63mm)です。14~15.5ゲージ(1.63~1.37mm)のコイルは圧力を感じすく、一般的な厚さである12.5ゲージ(1.94mm)のコイルはかなり硬く感じられます。
コイル同士をつなぐことで、マットレスの形状を保てます。コイルは多くの場合、ワイヤーで連結されています。ポケットコイルは連結されていませんが、全体を布で包みこむためマットレスの形状を保つことができます。
マットレスのコイルには4つの種類があります。
ボンネルコイル
ボンネルコイルは最も古く、一般的です。ボンネルコイルは、19世紀の馬車のシートスプリングを応用したもので、今でも中価格帯のマットレスに多く採用されています。ボンネルスプリングは、上が丸く、砂時計のような形の金属コイルを結びつけたものです。このコイルをらせん状のクロスワイヤーでつなげたものが、ボンネルユニットとも呼ばれる、最もシンプルなインナースプリングです。
オフセットコイル
砂時計型コイルの巻きの天地を一部平らにしたものがオフセットコイルです。スプリングユニットを組み立てる際には、この平らな部分をらせん状のワイヤーでヒンジ結合します。ヒンジの効果により、体にフィットするように設計されます。LFKコイルは結合しないオフセットコイルで、円筒形または円柱形の形状をしています。
コンティニュアスコイル
コンティニュアスコイル(レゲット&・アンド・プラット社でのブランド名は「ミラコイル」)は、各コイルの列が一本のワイヤーで形成されているスプリング構成です。オフセットコイルと同様に、ヒンジ結合が機能を果たしています。
マーシャルコイル
マーシャルコイルは、細いゲージで作られ結び目のない樽型コイルを、人工不織布のポケットの中に個別に入れたものです。メーカーによっては、このコイルを事前に圧縮することでマットレスをより硬くし、ベッドの両サイドでの動きが別々になるようにしています。ポケットコイルは連結されていないためほぼ独立して機能し、あるコイルにかかる重みが隣のコイルに影響しません。ある調査では、参加した消費者の半数以上がポケットコイルマットレスを選び購入しました。
マットレスの表面層
表面層はマットレスを覆いクッション性と快適さを提供します。メーカーによっては、マットレスの芯材を「サポート層」、表面層を「コンフォート層」と呼んでいるところもあります。表面層は、インシュレーター、詰め物、キルティングの3つの部分で構成されています。
インシュレーターは、マットレスの芯材と詰め物を分ける役割を果たします。通常、繊維やメッシュでできており、詰め物を固定することを目的としています。
詰め物は、インシュレーターとキルティングの間にある素材のことです。キルティングには通常、柔軟なウレタンフォーム(卵の箱のような複雑なフォームを含む)、ラテックスフォーム、フェルト、ポリエステル繊維、綿、ウール、不織布など、寝心地の良さを追求した素材が使われています。ヨーロッパや北米では、マットレスメーカーがジェル入りフォーム、例えばフォームの上にソフトソリッドジェルを重ねたり、コンフォート層へのジェルフォームなどを取り入れ始めています[10]。
キルティングは、マットレスの最上層です。軽めのフォームや繊維をティッキングの下側に縫い付けたもので、マットレスの表面を柔らかい感触にします。キルティングにもさまざまな硬さがあります。
マットレスの土台
土台(ベッドベース)には、大きく分けて3つの種類があります。
伝統的なボックススプリングは、強固なフレームと頑丈なスプリングで構成されます。マットレスの芯材、スプリングユニットの寿命を延ばすため、多くはスプリングマットレスと組み合わせて使用されます。
オールウッド
オールウッドの土台は、ボール紙や合板の下に7〜8本のすのこが配置されているのが一般的です。この土台は、「ノーフレックス」「ローフレックス」「ゼロディフレクションユニット」「オルソボックス」などと呼ばれ、張り床の土台と同様の支えをします。米国のマットレスメーカーが超厚手の片面マットレスにシフトしたことで、オールウッドの土台はますます普及してきています。
グリッドトップ
グリッドトップ土台は、金属と木材を組み合わせたものです。
一般的に、土台の寸法は、マットレスの寸法よりも約1-2短くなります。
ファブリックカバー
マットレスや土台を包むための厚手の布をティッキングといいます。
通常、土台の縁生地とコーディネートしてデザインされており、色やスタイルも豊富です。マットレスを覆う生地には、ニットや、ダマスク柄などがプリントされた織物、安価な不織布などがあります。
過去10年間で、オールフォームベッドの高まりとともに、ベッドのトップ部に伸縮性のあるニットティッキングが、スプリングベッドとフォームベッドの両方で標準装備されるようになりました。ティッキングの多くはポリエステル糸で作られています。高価なマットレスの生地には、ポリエステルとレーヨン、綿、シルク、ウール、その他の天然糸を組み合わせたものもあります。
2000年代初頭まで、ベッドは1枚の生地で張られているのが一般的でした。ダマスク柄のティッキングが使われたり、安価なベッドセットではマットレスと土台の全面に不織布が張られていました。
現在のベッドセットは、最大で6種類の布地で覆われています。眠る際の接地面になるトップ部分には上質なジャージー素材や、ダマスク柄の織り生地、マットレスの縁には同色または対照的な(通常は織りの)生地、土台の側板には同色または対照色の布(通常は織り生地)、土台の表面とマットレスの裏面には「滑り止め」の織り生地または不織布、土台の下側には不織布のダストカバーが使われています。
北米のマットレスメーカーの中には、ベッドの縁部分に家具用の布地を使用し、よりヨーロッパ風な雰囲気を演出しているところもあります。
フォームマットレス
オールフォームマットレスは、石油化学系の軟質ポリウレタンフォームと高弾性フォームやメモリーフォーム、ラテックスラバーフォームの重さや密度を変えて使用しています。
多くのマットレスメーカーは、植物由来の成分を含むウレタンフォームや、高弾性フォームを取り入れています。オールフォームマットレスは、多くの場合、張り床タイプのベースと組み合わされます。
ラテックスフォーム
マットレスに使用されているラテックスフォームは、一般的にパラゴムノキの木のラテックスと、石油化学製品などに由来する合成ラテックス、およびフィラーをブレンドしたものです。しかし、ポリウレタン系の化学物質を除いた天然ラテックスのマットレスもあります。
ラテックスフォームは「タラレイ製法」または「ダンロップ製法」で製造されています。
メモリーフォーム
メモリーフォームマットレスは、硬めのウレタンベースフォームの上に、体にフィットする高弾性フォームを使用しています。スプリングマットレスの中には、表面層にメモリーフォームを使用しているものもあります。高弾性フォームとベースフォームの厚さ、重さ、配合を変えることで、さまざまな感触と快適さが得られます。
ラテックスマットレスとメモリーフォームマットレスは、それぞれ独特の感触があります。このタイプのマットレスは、痛みのある関節への圧力を緩和するのに適しています。
多くのメモリーフォームマットレスは、標準的なスプリングマットレスよりも高価です。メモリーフォームは温度の影響を受けます。涼しい部屋では、あたたかい部屋よりも硬く感じます。また、体温や体重に応じて柔らかくなり、寝ている人にフィットします。
従来のメモリーフォームは、体に合わせて変形するため、寝姿勢を変える際に体を転がす必要があり、へこみが生じていました。マットレスメーカーは、より「反応の速い」メモリーフォームを採用し、この問題に対応しています。つまり、寝ている人が動いたときに、より早くマットが戻ってくるのです。また、フォームマットレスはスプリングマットレスに比べて一般的に「暖かく眠れる」ことが知られています。
マットレスメーカーは、「オープンセル」メモリーフォーム、ピンホールコアメモリーフォーム、ジェル入りメモリーフォーム、チャンネルカットフォーム、網状フォームサポート層、およびオールフォームベッドの空気循環を改善する技術などで、こうした問題に取り組んでいます。
高密度フォーム
メモリーフォームマットレスと同様、高密度フォームマットレスは一般的にウレタンでできており、よりコンパクトなフォームを使用しています。高密度フォームマットレスは、従来のフォームマットレスよりも高密度であるため、快適さと耐久性に優れています。スプリングを備えた高密度フォームのマットレスはさらに長持ちし、たるみも解消されます。
膨張マットレス
マットレスは、水や空気などの液体を入れた空気袋から作られることもあります。これは古代からあり、少なくとも紀元前3600年のペルシャでは、水を入れたヤギの皮袋が使用されていたといわれています。そして製造法の改善により、20世紀に人気が高まりました。
エアマットレス
エアマットレスは、スプリングの代わりに1つ以上の空気袋を使用して体を支えます。品質や価格は、キャンプなどでたまに使うための安価なものから高級ベッドまで、さまざまにであります。
一般的な寝室用に設計されたエアマットレスは、同程度の機能を持つインナースプリングマットレスと同価格帯です。空気袋の構造は、単純なポリエチレン製の袋から、内部にバッフル構造のあるラテックス(加硫ゴム)製、ビニール製の複数の気室に綿の外装のあるものまでさまざまにあります。
ソフトエアベッド
マットレスは、クッション性を高めるために気室の上にフォーム層があり、カバーで覆われている場合もあります。このようなベッドは、ソフトエアベッドと呼ばれています。特に、マーケットリーダーのSelect Comfortが2001年頃に大規模なマーケティングキャンペーンを開始した後、恒久的な使用が可能で、硬さが調整できる「エアベッド」が人気を博しました。
元のエアベッドは1981年にComfortaireが製造し、後にSelect Comfortに買収されました。他にもいくつかのメーカーがあります。ベッドの両サイドをそれぞれ独立して調整できるものもあります。高さ約7インチのベーシックタイプから15インチのハイブリッドタイプまで、さまざまなモデルが作られています。
研究によると、硬さの調整ができるベッドは腰痛に良いといわれています。
医療用マットレス
硬さが調整可能な医療用マットレスには、特別な制御メカニズムがあります。1990年代に、定期的・自動的に圧力を変更し、複数の気室を交互に膨らませたり縮ませたりする自己調整式エアベッドが登場しました。
こうした定期的な変化を与えることで、床ずれを軽減することをめざしていますが、2008年時点でその有効性は研究段階です。
キャンプ用エアマットレス
キャンプ用エアマットレスには、それ自体にはほとんどサポート力がないフォームが使われています。エアバルブを開けると膨張して空気が入るため、マットレスはほぼ自然に膨らみます。
通常のエアマットレスと異なり、膨らますためにポンプを使わないので、多くの道具を持ち運ばなくてはならないキャンパーにとっては特に便利です。Aerobed、Coleman、Therm-a-Restなどのブランドがあります。
エアマットレスの危険性
米国消費者製品安全委員会は、乳幼児をエアマットレスの上で寝かせないよう消費者に勧告しています。これは、主に生後8カ月未満の乳児がエアマットレスで寝かされいる際にエアマットレス上でうつぶせになって窒息死した、あるいはマットレスとベッドフレーム、マットレスと隣接する家具や壁との間の隙間に落ちて窒息死したという報告によります。
ウォーターベッド
ウォーターベッドは、金属製コイルや空気の代わりに、内部に水を入れたマットレスです。ウォーターベッドは、ユーザーが望む硬さを実現するために、さまざまな繊維の層で構成されています。
ウォーターベッドは他のマットレスと同様に、脊椎をはじめとした体を支えます。また、ウォーターベッドに寝ていることを意識させないような、100%波がないというサポートのオプションもあります。
マットレスの品質
マットレスの品質を決定する要素は数多くあります。
これらの要素のうち、体圧分散、肌の表面温度、衛生状態、エッジサポート、長期にわたる安定性などについては、実験室での試験方法が確立されています。これらの試験法の一部は、英国の医薬品・ヘルスケア製品規制庁を代表して取り組んでいるダンカン・ベインが開発しました。
硬さなど、その他の要素は、寝る人それぞれに特有のものです。一般的に、硬めのマットレスは腹ばいで寝る人と仰向けで寝る人の一部に、柔らかめのマットレスは横向きで寝る人に、そして中程度のマットレスは大多数の仰向けで寝る人に推奨されています。
ベッドを共有して寝る人のさまざまな好みに対応するために、柔らかい部分と硬い部分があるものや、硬さを調節できるダブルマットレスがラインアップされています。
エルゴノミクス
2003年に行われたランダム化比較試験では、欧州標準化委員会のHsスケールを用いて評価した中程度の硬さのマットレスが、寝ていて痛みが少ないことが分かりました。
この研究は、腰痛に関する診療ガイドラインに引用されています。
2015年の系統的なレビューでは、中程度の硬さに調整することができるマットレスが、痛みの緩和するのと脊椎をニュートラルに調整するのに最適であると結論づけられました。
マットレスの耐用年数
マットレスの耐用年数とは、すべてのタイプのマットレスが本来のサポート力と快適性を維持できる期間を指します。
マットレスは時間の経過とともに劣化します。耐用年数は、素材、製造品質、手入れ、使用状況など、さまざまな要因に左右されます。
低品質のコンフォート層は1年で著しく劣化する可能性がありますが、質の良いラテックス芯材は20年以上、スプリングは通常10年程度品質が保たれます。コンフォート層が最初に劣化するため、マットレスの寿命を延ばすため両面になっていることがよくあります。
コンフォート層の代わりに、あるいはそれに加えて、別のトッパーを使用もできます。これにより摩耗が減り、マットレス全体を買い替えずにトッパーのみの交換が可能です。
高級マットレスの耐用年数は7〜10年が大半ですが、手入れによっては10年以上持つこともあります。
米国では、マットレスの保証期間は一般的に10年または20年、場合によっては25年とされていますが、これは製造上の欠陥や、通常よりも早い劣化を想定したものであり、予想される経年劣化ではありません。
米国では2008年の時点で、マットレスの寿命は約10年であると一般的に考えられていて、年齢層によって異なるものの、これが米国人がマットレスを保持する平均年数です。 この考えは、セールストークや、マットレスの保証期間中、つまり10年または20年もつという期待、他の家庭用品との比較など、多くの要因に基づいています。
マットレスの買い替えサイクル
マットレスの買い替えサイクルは、マットレス業界にとって収入と利益に関わる重要な要素です。
例えば5年の買い替えサイクルは10年のサイクルと比較して2倍の売上になるため、マットレス業界には買い替えサイクルを短くすることに経済的なインセンティブがあります。特に、国際睡眠製品協会(ISPA)は、1979年にBetter Sleep Council(BSC)を設立し、人々に「より良い寝具への投資」を促すことに加えて、「マットレスの交換サイクルを短くする」ことを目標に掲げています。
オクラホマ州立大学の研究者による2006年の研究(BSCが資金提供)では、59人の5歳以上(平均年齢9.5歳)の睡眠不足の人を対象に、使用していたマットレスを新しいマットレスに無償で交換しました。その結果、特に既存のマットレスが安価であった場合に睡眠の改善が見られました。
BSCはその後、ISPAが発行するマットレスメーカー向けのニュースマガジン「BedTimes」でこの研究を引用し、マットレスの交換頻度を上げること、特に「5~7年ごとにマットレスの交換を検討する」ことを推奨しています。それは主にこの研究に基づいたものです。
マットレスのメンテナンスと手入れ
摩耗の問題はほとんどのマットレスで発生します。また、たるみ、カビ、染みなどもあります。これらは、適切なサポート、回転したり裏返したり、湿気を取ったり、パッドやプロテクターの使用などによって防ぐことができます。
マットレスの破損や劣化の症状としては、スプリングが表面層を突き破っているのが感じられる、明らかな、一時的ではないたるみや変形がある、ゴツゴツしている、過度のきしみがあるといったことが挙げられます。
マットレスには、しっかりとした土台が必要です。
幅広のベッドですのこが弱いというように土台がたるんでいると、マットレスもたるんでしまいます。同じ場所、同じ体勢で寝続けると摩耗が激しくなるため、マットレスを回転させたり、裏返したりすることでこれを軽減します。
両面マットレス
両面マットレスの場合は、幅方向(長軸方向)と長さ方向(短軸方向)を交互に変えたり、裏返すのと回転するのを交互に行ったりします。一方、片面マットレスは回転させるだけなので、簡単ですが効果は低くなります。
どれくらいの期間ごとに反転・回転するかは素材やメーカーによって異なりますが、一般的には最初の6ヶ月間は毎月、その後は2~3ヶ月ごとに行うことをお勧めします。可能であれば、土台も回転させるとよいですが、これは頻繁にする必要はありません。
ボックススプリング
ボックススプリングは年に2度回転させることを推奨します。たるみは好ましくありませんがコンフォート層に天然素材を使用している場合は、ある程度のくぼみ(約8 cm(3.1インチ))があるのが自然です。
折り曲げたり、一か所に重いものを置いたり、持ち手に力を入れたりすると、マットレスの劣化が早まります。特に輸送や保管の際には注意が必要です。
定期的な除湿
マットレスは、湿気を除去し、カビを防止するために換気が必要ですので、床や固い面に直接置かないようにしてください。
すのこやボックススプリングは通気性がありますが、無垢材や合板(安価なバンキーボードなど)は通気性がありません。天然素材の場合はシーツを剥がした後(洗濯時など)にマットレスを「裸」の状態にしておき、さらに通気性を高めることをお勧めします。
拭き掃除の注意点
水を使った掃除でマットレスが湿った状態になると表面層にカビが生えることがあります。これを防ぐため、掃除機や、中性クレンザーと軽く湿らせた布で拭くなどのお手入れをしてください。
マットレスは液体やシミを吸収しやすく、特に寝汗(黄色のシミになる)、精液(カウパー)のシミはより濃く、生理による月経血は暗赤色に、その他の体液、誤ってこぼしてしまった水分がシミになってしまいます。
こうしたことでティッキングが汚れ、下の層にまで染み込んでいきます。このようなシミは不衛生で洗濯しにくく見栄えが悪くなるだけでなく、通常、保証の対象外です。そのため、マットレスを保護するためのパッド、シーツカバーやプロテクターをお勧めします。これは取り外して洗濯でき、劣化した場合は交換できます。
マットレスのメーカー業界
マットレスメーカーは、スプリング、ラテックス、エアベッドなど、特定のタイプのマットレスを専門にすることが多いですが、ラテックスやエアベッドの人気が高まるにつれ、そうした会社が一般的になってきています。
ほとんど同じマットレスが異なるブランド名で販売されていることがよくあります。
Serta社とSimmons社
2大ブランドであるSertaとSimmonsはプライベートエクイティによる買収後に同じ会社が所有することになりました。1800年代後半に設立されたSimmonsは何度も売買され、2000年代の寝具業界の大きな落ち込みの後には倒産の危機に瀕しています。
国際睡眠製品協会
1915年に設立された国際睡眠製品協会は、米国のマットレス販売に関するレポートを発表しています。
別の協会であるSpecialty Sleep Associationは、ラテックス、ウォーターベッド、エアベッドに特化したInnomaxやBoyd Specialtyなどの企業を代表しています。ただし、エアベッド(特殊ベッド)を製造している Select Comfort はISPAのメンバーです。
Sealy社
1881年に設立されたSealy社は、1992年にオールフォーム(テンピュール)ブランドを米国に導入していたTempur-Pedic社に、2012年に買収されました。
Spring Air社
もう一つの大企業であるSpring Air社は2009年に倒産し、元幹部の一人に買収されました。
Comfortaire社
1981年に設立されたComfortaireは、初めてエアベッドに特化した会社です。後にSelect Comfortに買収されています。
Pikolin社
スペインでは、1948年に設立されたPikolinが、マットレスの最大手メーカーの一つです。
調節が可能なベッドがトレンドとなっています。これはラテックスやメモリーフォームなど特定のタイプのマットレスとの相性がよいものです。これらは特にヨーロッパで人気があり、あるタイプが、2010年にスウェーデンでのベッド販売の25%、オランダでの70%を占めています。
マットレス産業
2010年代には、Amerisleepをはじめとした、消費者直販オンラインマットレス企業のビジネスモデルにおいて、アフィリエイトマーケティングが主要な役割を果たすようになりました。その後、ベンチャーキャピタルや資金提供を受けたCasperやPurpleのような企業が続き、2018年には世界のマットレス産業は285億ドル規模にまで成長しています。
専門家によると、米国には175社以上の「マットレス」企業が存在するとのことです。